「食べることは生きること」、食べることに向き合っていますか?
社会が変動した2020年。新しい生活様式と言われますが、私たちは毎日何かを食べて過ごしています。「食べることは生きること」であると実感することが多い年でした。しかしコロナ禍の自粛で、飲食業界や観光産業などが打撃を受け、「食」を提供しようという想いはそがれている面もあると感じています。
食に関する話題で、私たちは未来を憂えることが多くなってきました。「多くの食べものが捨てられてもったいない」「食料自給率低下による食料不足のリスク」「テイクアウトの需要増加によるプラスチック容器の利用増加」といった地球規模の環境問題や資源問題から、「孤食増加など家庭内での食事環境の悪化」「生活習慣病、肥満、やせすぎ、低栄養」といった個人の問題まで様々なレベルで、「食」に関する嬉しくない話題で溢れています。こうしてみると、なんだか私たちの「食卓」の未来はあまりたのしくなさそうです。
こうした情報を素直に受け止め、「食」を憂える視点も大切ですが、「食」に夢を見る情報も増えることで、「食卓」をたのしめる人も増えるはずです。過去を後悔するだけではなく、未来を憂えることだけでもなく、そこにちゃんと夢を踏まえて、いまある食を次世代にちゃんとパスをする。それこそが、今を生きる私たちのできることだと思います。
そのために私たちは、「食」を学びたい、行動したいと望んでいるみなさんに向けて、今まで行ってきた事業やプロジェクトを集結させ、オンラインやオフラインを駆使し、ともに学び合う新しい形としての「食の学校 foodskole」 を創る決意をしました。みんなで、「食」に夢を持ちましょう。
1膨れ上がる世界の人口
世界人口は現在の77億人から2050年には97億人へと増大し、今後30年で20億人の増加となる見込みになっています。国連経済社会局人口部が発表した『世界人口推計2019年版:要旨』では、世界人口が今世紀末の2100年には、ほぼ110億人に達する可能性があると結論づけています。
報告書では、平均寿命の延びと少子化により、世界人口の規模、構成、分布の変化が生まれることを予想しており、「食」についても様々な変化を生むことと思います。これだけ膨れ上がった数のヒトが食べるものを確保し、持続していくのは並大抵のことではありません。それだけのヒトに必要な食べものを環境負荷ゼロで確保することは、おそらくできません。それを自覚し地球で暮らしていくには、ヒトは食のリテラシーを持たなければなりません。これは地球に対する「最低限のマナー」だと思います。
2生産される食料の3分の1は、世界でムダになっている
世界でムダになっている可食部は、およそ13億tと言われており、生産される食料の3分の1にも及びます。また概念としての「food loss」、「food waste」、「食品ロス」が定義しているものも違いがあります。「food loss」は、人の消費に向けられる食品サプライチェーンの、各段階における食品の量的ないし質的な減少【FAO(国連食糧農業機関)による説明】としています。
「food waste」は、食品サプライチェーンの最終段階(小売および最終的な消費)で発生する食品の損失【FAO(国連食糧農業機関)による説明】です。
なお、日本で言われる「食品ロス」は、国民に供給された食料のうち本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品【農林水産省による説明】と定義されています。食品廃棄物(有価物や不可食分を含む)のうち、「食品ロス」は 612万トンもあり、可食部の利活用はますます重要になっていきます。
世界人口が増大し、食料の確保、食品ロスの利活用など、
「食」の在り方が問われている。